世界史オンライン講義録

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001 帝国主義(教科書308ページ)

「帝国」というとどこかゴツい感じがしますね。例えば,スターウォーズにしたって主人公率いる同盟軍と,それに対する敵のことを帝国軍といいました。だから「帝国」っていうと,どこか響きからしても「支配をし植民地をつくる」っていうような感じがするのですが,それでは「帝国」に「主義」がついた「帝国主義」とはいったいどんな意味なのでしょうか。

 

帝国主義の成立

なぜ19世紀後半から20世紀にかけて列強たちは帝国を築くようになったのでしょう。ただ「威張りたかったから」というわけではありません。「国内産業の保護」という経済的な側面もありました

 

18世紀のイギリスで起きた産業革命では,石炭でお湯を沸かして蒸気を取り出し,その力で機械を動かしてモノを生産する,ろいう生産様式の変化でした。時代はすすんで19世紀後半から20世紀になると「石炭は石油に」「蒸気は電力に」置き換わり,」物を生産するのみならず,「ものを作る機械を機械でつくる」という第二次産業革命という生産様式の変化が見られました。以前は「100枚のTシャツを製造する機械」をつくっていたのが,「100枚のTシャルを製造できる機械を100台つくれる機械」をつくるようになったのです。やったぜ!第二次産業革命バンザイ!!今まで100枚しか作れなかったのに,1万枚つくれるようになった,これは良いことだぜ!・・・ん?本当に良いことか??

 

たしかに,生産力が増えたことはうれしいけど,機会を使ってTシャツをつくるTシャツ会社の社長さんは頭を抱えることになります。なぜなら,今まで100個うればよかったのに,今度は1万枚も売らなければならなくなったからです。全部売り切れれば儲けは100倍ですが,材料や設備投資にお金がかかっているので,売れなければ一発で倒産してしまいますよね。銀行や株主たちも,Tシャツ会社の社長に貸したお金の利子でもうけているので,貸したお金が回収できなければこれまた一発で倒産してしまうようになります。このように,第二次産業革命以降の産業構造は「ハイリスク・ハイリターン」にならざるを得ないのです。そこで,Tシャツ会社の社長や銀行や株主たちは政府に要請をし,軍隊を各地に派遣させて植民地を獲得してもらい,商品の売付け先(市場)と原料の供給先を求めていこうとする動きがみられるようになってきます。

 

植民地が広げられなければ国内の企業は倒産し,ライバルの国に先を越されてしまい,ひいては社会不安や革命につながってしますのです。だから,海外に植民地をひろげ,商品を売りつけるだけではなく原料も生産できるところであればなおさら良く,こうした植民地をもとめアジア・アフリカに植民地を求める欧米諸国が殺到し,様々な民族を支配する帝国主義につながったのです。