世界史オンライン講義録

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012 辛亥革命(教科書324ページ)

義和団の乱で,外国に戦争を仕掛けたんだけど負けちゃって,かなりきっつーい条約を結ばされて,やっと清朝が自分で改革をしようとしました。四書五経の経典を暗記して解くような試験「科挙」を排ししたり,憲法を作って立憲国家になろうという憲法大綱の制定があったのもこのタイミングでした。しかし,時すでに遅し。まだ洋務運動あたりの頃にやっておけば間に合ったのかも知れないですが,義和団の乱になってようやく改革を乗り出してもすでに遅いんですよね。そうしたときに登場したのが,孫文という人物です。孫文とは清朝を倒した人物で,その孫文辛亥革命を行います。孫文っていう人は結構外国暮らしが長く,留学したり外国で活動したりしていましたので,外から見て自分の国の在り方がチグハグで居たたまれなかったんでしょうね。例えば,ちょっと西洋の技術を取り入れてみたものの戦争に負けちゃったり,でも身も心も変えようとしたら西太后に握りつぶされて,外国に戦争を仕掛けて逆にめちゃくちゃにされたりなど,そんな清の動きに我慢できなかったのだと思います。そこで,孫文は清を倒して新しい中国を作ろうということで,興中会をハワイで結成したり,中国同盟会を東京で結成したりします。孫文の主張はこうです。「皇帝独裁の清朝を倒し,新しい中民主主義の国を作るんだ!」っていうことで三民主義を唱えたのでした。「今,外国に食われようとしている清。中国の①民族の独立は絶対に守らなければならない。そして,民主主義の国を作り国民の意見を聞いて国を運営していかなければならないってことで②民権の伸長,あと人々の生活を守っていかなければならない③民生の安定,といった3つのスローガンを掲げたのでした。

 

辛亥革命

さて,いよいよ清が倒れ,中華民国ができる辛亥革命のお話へと移っていきたいと思います。この革命の発火点となった最初の動きは,清朝が外国から資金調達(借金)をするために,私鉄を強引に国有化していったのです。いったいどういうことかというと,今の日本にもJRや阪急といった私鉄がありますよね。当時の清にも私鉄がありました。そうすると,たとえば日清戦争で敗北したときに北京議定書を締結して,いろんな国に賠償金を払わなければなりませんでした。つまり,お金が必要なわけです。そこで,イギリスやフランスからお金をかりて,そのお金で賠償金を払っていきたいと考えたのでした。ただし,借金はタダでは貸してくれません。今の現代も同じで,何か借金のかわりとなるカタ,いわゆる担保が必要でした。返せなくなったらコレもってってもいいですよっていうような借金の保証が必要だったわけです。これを清は,私鉄を強引に国有化して借金の担保として相手国に渡そうとしたのでした。これは怒りますよね,私鉄を作った人々は。そんな民族資本家らが中国南西部にあたる四川省のあるあたりで暴動がおきます(四川暴動)。お金持ちが暴動をおこしたことから,この辛亥革命がスタートするわけですね。そして,四川暴動は各地へ飛び火します。たとえば,四川省にほど近い武昌という町では,清を倒すことを目的とした蜂起がおこったりもしました(武昌蜂起)。そして,中国南部の省が清から次々と離脱していきます。そして,今回の辛亥革命の言い出しっぺである孫文臨時大総統というトップの役職について,中華民国を建国することになります。

 

清の滅亡

孫文を中心とする中華民国(首都は南京)ができました。すると,清としてはこの中華民国は反乱軍にあたるわけですから,倒さなければなりません。そこで,清は一人のエースに命運を託しました。それは誰かいうと,袁世凱という人物です。この袁世凱が負けてしまったらまさに清はおしまいだといってもいいくらいのエースです。エースを南京に派遣して,孫文中華民国を潰しにかかります。しかし,裏ではある密約がとりかわされていたのでした。それは何かと言うと,孫文いわく「袁世凱さん!あなたを中華民国の臨時大総統に指名しましょう。わたくし孫文はここで一旦引きます。しかしそのかわり,逆に清は私が攻撃させてもらいますよ」といった感じで,袁世凱の臨時大総統就任と引き換えに,清を逆に攻撃させたのです。清朝としてはびっくりしたでしょうね。だって,エースだと信じて送り込んだ袁世凱だったのに,その袁世凱が敵国・中華民国のトップになって攻撃してくるんですからね。清朝にとっては頼みのエースに裏切られたのだから,たまったもんじゃありません。これで清はもう観念してしまいます。清の最後の皇帝である宣統帝(溥儀)は退位し,清朝は滅亡してしまいます。

 

その後の中華民国ですが,袁世凱によって独裁化され,中華民国を我が物にしていきました。やがて,孫文がつくった国民党と対立します。しかし,その袁世凱が死去してしまうと,各地とくに中国北部では軍閥といって大名のようなミニ軍事政権が戦う不安定な状況になってしまいます。